2014年9月4日木曜日

「ピアニストは孤独だ」

 バイエルン放送のラジオ、BR-Klassikで、ザルツブルク音楽祭中に行われたクリストフ・エッシェンバッハのインタビュー(演奏つき)を今聴くことができます。(この日記の最後にリンクを貼っておきます。)

 彼が戦争孤児になった時数年感ショックで言葉が話せなくなった話とか、指揮者になりたいからバイオリンを勉強した、ピアノは音楽家としての出発点であったことなどを語っているのですが、その辺の話は彼のファンならすでにご存知でしょう。

 私がこのインタビューで一番強烈な印象を受けたのはなぜ彼がソロのピアニストとして舞台に立たなくなったかという理由です。

 「ピアニストは孤独だ」− ホテルからホテルへ、街から街へと一人で移り歩く生活はしたくなかった。指揮者になることはフルトヴェングラーを聴いて以来の願望だった、とか。

 その辺の気持ちはわかるような気がします。人間と一緒に音楽を奏でたいという彼の想いがよく伝わって来ました。


 若い才能を見つけてはデビューさせ、応援したいという意欲にもみちていました。


 40分近い放送ですが、半分ぐらいは演奏(エッシェンバッハ+ゲルネ、バーンスタイン、エッシェンバッハ+バルト、ホロヴィッツ)です。私にとってはドイツ語の良い勉強になりました。しかし、若い頃はバリバリの北ドイツ弁を話していた彼はかなりオーストリア化してます。やはり環境とともに言葉も変わるのですね。


 彼が一番大きな影響を受けたのはホロヴィッツだったそうです。ニューヨークの彼のアパルトマンを訪ねた折、シューマンについて話し合った。その際ホロヴィッツがいきなり「クライスレリアーナ」を弾き始め、何と最後まで弾いてくれたとか。


 それは、最高の想いだったでしょうね。


 エッシェンバッハさん、どうか日本の聴衆の前にも室内楽のピアニストとして立ってくださいませ。


BR-KLASSIKのインタビュー(公開期間限定と思われます。)


http://www.br.de/radio/br-klassik/sendungen/meine-musik/meine-musik-christoph-eschenbach-100.html