2013年2月14日木曜日

老いても心身ともにイケメン・マリス・ヤンソンス!

リンクを張った放送の冒頭の部分だけでも聴いてみてください。 
ドイツ語がわからなくても全然問題なしですから。 

http://www.br.de/radio/br-klassik/import/audiovideo/dirigenten-bei-der-probe-folge-1-fuer-den-25122012-mjansons-100.html

マリス・ヤンソンスのプローベの模様を録音したものです。曲はベートーベンの「運命」。

すごい迫力でしょう?「音をゆるめない!すべてを気の狂ったように進めて!」叫び声が聞こえます。 

この人、実はかなり小柄で、ソリストなどと並んで立つと貧弱なぐらい。インタビューなどでもけっこう老人っぽいしゃべり方をするのですが..... 

しかし、指揮する姿はすごく大きく見えるのです。そしてホールの最前列とか2-3列目の曲席に座って観察しているとびっくりするほど顔の表情が豊かなんです。身体の動きも素晴らしいし。斜め後ろから盛り上がった肩や強そうな上腕部をみて惚れ惚れすることしきり。 

このプローベも、すごい力が入っています。インタビューの時とはまるで別人のような強さ、激しさ、鋭さ、厳しさを感じさせます。でも、きちんと「失礼しました。」、「ありがとう」などと謝罪したり礼儀正しくすることも忘れません。 

ドイツ語は訛こそあれ(語尾-erをまともに「エル」と発音するので奇妙に聞こえます。)、教養の高い人の話す大変立派なドイツ語です。 

彼はこのようなプローベを英語でもドイツ語でも(もちろんロシア語でも)できるのですよね。まったくもって凄いとしか言いようがありません。 

彼の演奏の楷書的な端正さはリズムの取り方の厳しさにあるように思います。あと、ティンパニひとつの音にも「硬い音」とかさまざまな指示を与えています。足を踏み鳴らしているところもありますよ。「問い!」「答え!」とも叫んでいます。手を叩いているところもあり。そして放送の最後の部分、丹念に弦の練習をした後、見事に済んだ音でハーモニーが奏でられて感動ものでした。 

私は昔から指揮者のプローベの映像や録音を試聴するのが好きなのですが、ここまで厳しくも礼儀正しいのはカルロス・クライバーぐらいだったかと思います。 

私はフェレンツ・フリッチャイも大好きだったのですが、フィリッチャイは丁寧で奏者に対して非常に気遣いをよくする人でした。 

ああ、それにしても何という激情のほとばしりでしょう。技術な要求には、これ、バイエルン放送響だから、またアムステルダム・コンセルトヘボウだから応じられるのでしょうね。 

結局54分間聴いてしまいました。 

もう一回冒頭を聴こう。 

秋にアムステルダム・コンセルトヘボウ響と来日するのが楽しみです。 

参考までに彼のインターネットビューをご紹介します。ふつうのおじいさんという感じ? 

http://www.digitalconcerthall.com/ja/concert/2886-5