2014年8月20日水曜日

ザルツブルクより

 突然ですが、今ザルツブルクにいます。一昨日の夕方到着し、昨日モーツアルトの「ドン・ジョヴァンニ」を見て、今日はルドルフ・ブッフビンダーのベートーヴェン・チクルスに行ってきました。

 以下は本日の感想です。

 ザルツブルク、実質的に2日目。ルドルフ・ブッフビンダーのベートーヴェンチクルスの6回目にドイツ人のおばちゃんと行ってきました。場所はモーツアルテウムの大ホール。といっても比較的小さな、とびっきり美しいホールです。

 演奏されたのは、有名な「悲愴」、「ワルトシュタイン」のほか小さなソナチネ、ト長調(Op. 49-2)、ソナタ11番変ロ長調Op. 22、「カッコウ」というニックネームのあるソナタ25番、ト長調(Op. 79)、それに二曲のアンコール。

 結論を先に書いてしまいます。「なぜ、ブッフビンダーはあれほど恐ろしく速いスピードで、しかも割れ鐘のようなフォルテでピアノを叩きまくったのでしょうか?一階の前から13列目にいた私はあまりにも音が大きすぎ、かつ乱暴なところがあって頭痛を起こしてしまいました。
 ブッフビンダーは30年以上前から知っていますが、昔は室内楽の上手ないいピアニストでした。今はというと、「巨匠ばり」のピアニスト。でも、本当の巨匠なら「余裕」を持ってピアノをかき鳴らすことができるはず。でも、そうじゃない。
 私は本日演奏された曲のうち変ロ長調のソナタ以外はアンコールも含めて全曲自分で弾いています。だから、ひとつひとつのフレーズ、和音の進行を知っています。知っているから不幸だったのかもしれませんが、とにもかくにも大音響で叩きまくり、異常に速いスピードで弾くのでパッセージがきれいに聴こえなかったりして何とも残念な結果になりました。祝祭大劇場で「ハンマークラヴィア・ソナタ」を弾くならまだしも、小さなモーツアルテウムのホールで、これは無茶。 
 もちろん素敵なところもあって、ソナチネやアンコールの2曲目をかるーく、ピアニッシモで終わらせたのは、いかにも「今日はこれでおしまい!」というユーモアを感じさせました。「カッコウ」ソナタは比較的穏やかに気持ちよく弾けていました。でも、ドイツの森の昼間の風景のようなこの曲、第2楽章は、ソフトペダルを踏みっぱなして弾いてほしかったなぁ。

 帰ってすぐ服用した頭痛薬が効いて来たのでそろそろ眠ることにします。今日だけは演奏がうるさくて頭がガンガンしました。
 ブッフビンダーさんのファンの方々、冷たい感想でごめんなさい。