2012年9月3日月曜日

ベルリンに来るなら。


ベルリン3日目。

天気は良いものの、日陰は寒いぐらいで私はセーターに上着を羽織っています。しかし、日が照ると暑くて大汗をかきます。こういう気候は苦手です。

書きたいことはあふれるほどあるのですが、なかなか時間がないのと、風邪をひいてしまって調子が悪いので最小限のことを書きます。

観光旅行に行く場合、どこそこで何を見て、どこのお店で何を買って、そしてどんなものを食べるか、などと前もって考えますよね。

ベルリン観光をするのに目的地を決めてしまうとけっこうがっかりする可能性があります。

ベルリンではいたるところで工事(それも大規模)をやっていて、お目当てのものは見られないかもしれません。

2010年に来た時は「勝利の塔」が補修工事中ですっぽり覆われており、今年はかつての西ベルリンの象徴であり、ドイツの歴史、文化に興味のある人ならおそらく誰もが訪れたであろう「カイザー・ヴィルヘルム教会」の半分空爆で吹っ飛んでしまった廃墟が改修工事のためすっぽり覆われていました。

旧西ベルリンといえばあの廃墟を保存し、新しくモダンな鐘楼と礼拝堂を作ったカイザー・ヴィルヘルム教会が何と言っても一番有名なのではないでしょうか。ちなみにこのあたりを「クーダム」と呼びます。

私の宿泊しているホテルの筋向いのホテルに至っては、クーダムの教会のある景色の見える部屋はお値段が20ユーロぐらい高かったと思います。

とにかく、ベルリンは廃墟から立ち上がった街ではあるのですが、まだまだ復興に向かって前進の途上にあるのです。

一昨年、去年私が宿をとった中央(ミッテ)地区のホテルの周囲も工事場だらけ、大きな廃墟も残っていて、壁という壁は落書きだらけというすさまじい状態でした。でも官公庁街まで歩いて行ける距離でした。

今日私はカイザー・ヴィルヘルム教会を訪れました。すっかりショッピング地区となってしまって、まだまだ大規模な商業施設が建築中のクーダムの中でこの教会の博物館(写真が多数ディスプレイされています。それを見ると戦争の愚かしさがわかります。)をまわり、新しい礼拝堂---見事なブルーのステンドグラスに囲まれた塔---に入りしばらく想いに耽っていました。

礼拝堂のキリスト像を見たとき、何か強烈な力にすっぽりと包まれました。大きく手を広げて私を招いてくれているキリスト像には抗いがたい力があります。そしてほんの数人しか人の入っていない礼拝堂で一生懸命祈りました。

いつ私に最後の時が来ても、私を見捨てないでください。信仰というのはその原理について難しいことを考えるものでも、適当なエピソードで面白く物語るものではなく、心の底に最後の砦として護っておくものだと思います。涙がポロポロとこぼれてきてハンカチで拭いました。

さすがに観光客も少なく、誰ひとり大きな声でしゃべっている人はいませんでした。大声をあげられるような雰囲気ではありません。後ろでさかんに写真をとっている日本人あるいは隣国の男性が変に目立っていました。

教会の廃墟は残念ながら見えません(中側から少しみられますが、崩落の可能性があって危険なので全体像は見られません。)

あの廃墟と化した塔を見ることはなかったけれども、大変深い感動を覚えました。また明日も行くかもしれません。今回クーダムにホテルをとって良かったです。

しかし、あの廃墟を改修して保存しようというドイツ人の心意気にも感動致しました。永久にベルリンは発展の途上にあるのかもしれません。

名所旧跡を見るなら、心の目で見たいものです。