自分がいる世界は夢うつろか?そう疑ってしまいたくなるような音楽会に行って来ました。
行ったのはモイツァ・エルトマン(Mojca Erdmann, ソプラノ)、グザヴィエ・ドゥ・メストル(Xavier de Maistre, ハープ)のリサイタルです。
(なお、ハープ奏者の姓は日本では「メストレ」とされていますが、私は「メストル」と呼びます。フランス人の先生におききしましたが、やはり「メストル」のようでした。)
曲目は、ピアノパートをハープが担当して、シューマン(「献呈、「蓮の花」、「レクィエム」他)、モーツアルト(「すみれ」、「春の想い」他)の後、ハープの独奏でモーツアルトのピアノ・ソナタ(ハ長調、KV545)、さらに歌が再び加わってメンデルスゾーン(「歌の翼にのせて」、「ズライカ」他)歌曲と前半だけでも大変な盛りだくさん。
後半はR. シュトラウスの歌曲(「ときめく心」、「サフラン」、「子守歌」等7曲)の後、ハープ独奏によるフォーレの即興曲変二長調、Op. 86が奏でられ、最後にベッリーニとプッチーニの歌劇から一曲ずつ(「ああ幾度か」、「私のいとしいお父様」)が演奏されました。
最初二人が舞台に出てきた時、私はメルヒェンの世界から王子様とお姫様が出てきたのではないかと思ったほどお二方とも美しかった!エルトマンさんの清楚なたたずまい、そしてメストルさんのバレエダンサーではないかと思うほどのひきしまった体とノーブルな雰囲気に一瞬息をのみました。ああ、何と美しいことよ!
シューマンの「献呈」で始まった歌曲、2000人入る西宮芸術文化センターの大ホールが広すぎるためか、エルトマンがちょっと力み過ぎた感じがありました。そんなにボリュームをあげなくてもちゃんと3階、4階にまで聞こえるよくとおる声なのに。
モーツアルトの歌曲で彼女の澄んだ細い声を堪能できました。
しかし、しかし!
今日のコンサートの主役は(ご本人には本当に申し訳ないのですが、ごめんなさい!)ソプラノ歌手ではなく、竪琴弾きでありました。
メストルのハープは鋼のように強靭なフォルティッシモから囁くようなピアニッシモまでダイナミックス、色彩、表現が変幻自在で、もうハープだけで幸せな気分になれました。
すでに最初の曲からこの素晴らしさを感じていたのですが、本領が発揮されたのはモーツアルトの小さなピアノソナタハ長調(KV545)でした。
主題の「ドーミソ シードレド、 ラーソド ソファミ」(トリラーを省略)をしっとりと奏でた後の音階が凄かった!これがまるで音がハープから解き放たれてふわっと宙を舞い、そしてすっと消え、そしてまた宙を舞い、消えるような印象を与えました。
ここはピアノなら(大抵初学者が)粒の揃わない音でガクガク弾くところですが、音階であることすら忘れさせるほど軽く、はかなく、快い響きとなりました。
陰影の濃さと微妙さもこれまた特別で、光と影が交代しあい、ところどころに光でも影でもない不思議な薄明かりの世界(Schimmer)が現れたり、もう超常現象寸前!
このモーツアルトの響き(ことに弱音!)は私が誰の演奏よりも愛してやまないクリストフ・エッシェンバッハの弾くモーツアルトのピアノ曲の世界に通じます。
「走る悲しみ」と形容される、悲しい想いに浸ることはないが、喜びに満ちた瞬間ふと薄明かりのような翳りができる、そういった世界でした。
メストルは後半でもフォーレの即興曲を独奏しましたが、その色彩感と超絶技巧にはただ感嘆あるのみ。
さて、エルトマンの歌、メンデルスゾーンあたりから硬さが取れて、後半のR. シュトラウスはハープと戯れるように歌われ、しばし至福の時を過ごすことができました。
ベッリーニの歌劇「カブレーディとモンテッキ」より「ああ幾度か」とプッチーニの歌劇「ジャンニ・スキッキ」より「私のいとおしいお父様」は絶好調の演奏でした。
オーケストラパートを弾く彫の深いハープに伴われて、ようやくエルトマンも思いっきり本領を発揮できたようです。同じフォルティッシモでも最初感じた硬さ、聴き辛さはなく、気持ちいいフォルティッシモでした。
アンコールが2曲。
2曲目をきいて、「何という美しく、敬虔な曲なんだろう。でも何度も聴いたこともあるけれど、何だっけ?」
思い出しました!シューベルトの「連祷」(Litanei)でした。実は私自身2年ぐらい前から声楽のレッスンの課題になったまま放り出していた曲でした。
まさに「祈り」。リサイタルを締めくくるには最高の曲でした。
ほんの二時間足らずでしたが、本当に満ち足りた幸せな時を過ごすことができました。
エルトマンはこれからますます成長するでしょう。メストルはいったいどんな演奏を展開して行くのか楽しみです。
メストルはちょうど私がザルツブルクに滞在する予定である今年の8月20日にソプラノのダムラウと共に登場します。帰宅して即刻チケットを予約したことは言うまでもありません。
ところで、この演奏会、平日の昼間の公演でした。私は木曜日は午前中授業、昼休み以降ほぼ確実に毎週会議やその他のミーティングが入っているため、チケットを取っていませんでした。
一昨日になって今日の午後会議がないことを確認しチケットを予約しました。平日の昼間に音楽会に行く人ってどんな人、なんて思ったのですが、会場の入りはとても良くて、一階はほぼ満席、二階正面もほとんど入っていたようです。私は中二階の左側で聴いていましたがこの部分もすべて席がうまっていました。
東京の公演はさらににぎやかになるでしょうね。時間とお金があったら行きたいですけれど、今回は今日のまさに「白日夢」の世界に満足して眠ることにします。
あまりにも美しすぎて「白日夢」としか思えない演奏会でした。
2014年4月24日木曜日
2014年4月9日水曜日
またまた再開宣言!一回目は「追っかけ」
音楽と言語をめぐる私のブログ、約一年間凍結していました。
主な理由は私がTwitterに夢中になっていたことです。しかしそれ以外にも、まとまった文章を書く時間や体力がなかったことも原因していました。
いよいよ2014年度の授業も始まりますので、授業の話に加え、音楽、言葉(あえて「語学」とは言いません。語学は専門家の間では「外国語の勉強」という意味ではなく、言語そのものを研究する分野の名前だからです。)について雑文を連ねてみたいと思います。
書くことは何百もあるのです!
昨年の8-9月にはザルツブルクとベルリンと(一日だけ)チューリッヒで音楽祭に参加し、今年も3月にベルリンとアムステルダムも滞在し、ドイツ語とオランダ語に関する調査を行う傍らアムステルダム・コンセルトヘボウ(マリス・ヤンソンス指揮)の演奏(ブルックナーばかり)を1週間に4回も聴いて来ました。こういうのを「追っかけ」というのでしょ?しかも、いい歳した女三人(オランダ人二人と私)でヤンソンス氏が演奏会を終えてお帰りなるところを「お見送り」までして、2-3分おしゃべりするというミーハーぶり。あまりにも光栄で何をしゃべったか、また何語でしゃべったか、全く記憶にありません。それほど緊張しました。
でも、ヤンソンス氏はプルトの上の威厳にみちた姿からは想像もつかぬほど穏やかで物腰のやわらかい人だったのでおどろきました。小柄なふつうのおじいさんという感じでした。
でも、うれしかったです。
PS: そういえば、昨年の4月16日に「インターネットラジオで追っかけ」の話を書いていました。今年はネットではなくリアルな世界で追っかけしたのでした。(笑)
主な理由は私がTwitterに夢中になっていたことです。しかしそれ以外にも、まとまった文章を書く時間や体力がなかったことも原因していました。
いよいよ2014年度の授業も始まりますので、授業の話に加え、音楽、言葉(あえて「語学」とは言いません。語学は専門家の間では「外国語の勉強」という意味ではなく、言語そのものを研究する分野の名前だからです。)について雑文を連ねてみたいと思います。
書くことは何百もあるのです!
昨年の8-9月にはザルツブルクとベルリンと(一日だけ)チューリッヒで音楽祭に参加し、今年も3月にベルリンとアムステルダムも滞在し、ドイツ語とオランダ語に関する調査を行う傍らアムステルダム・コンセルトヘボウ(マリス・ヤンソンス指揮)の演奏(ブルックナーばかり)を1週間に4回も聴いて来ました。こういうのを「追っかけ」というのでしょ?しかも、いい歳した女三人(オランダ人二人と私)でヤンソンス氏が演奏会を終えてお帰りなるところを「お見送り」までして、2-3分おしゃべりするというミーハーぶり。あまりにも光栄で何をしゃべったか、また何語でしゃべったか、全く記憶にありません。それほど緊張しました。
でも、ヤンソンス氏はプルトの上の威厳にみちた姿からは想像もつかぬほど穏やかで物腰のやわらかい人だったのでおどろきました。小柄なふつうのおじいさんという感じでした。
でも、うれしかったです。
PS: そういえば、昨年の4月16日に「インターネットラジオで追っかけ」の話を書いていました。今年はネットではなくリアルな世界で追っかけしたのでした。(笑)
2013年5月13日月曜日
ハイパーテクストの堕落
今学期は2クラスの授業をCALL教室でやっています。
そのうちひとつのクラス(2年生)では市販の教科書をつかわず、Detsche Welle の提供している豊富な教材からひとつ、「ベルリンの壁崩壊」を選んで使っています。
この教材にはテーマが15あり、読み物や教師用指導要領、練習問題などがついています。
小テーマごとに過去のインターネットの記事がリンクされていているので参照すればより深く、詳しい理解が促されます。ただ、学部2年生にはやや難しすぎる感じがします。
あと、ビデオや歌が掲載されていて、これも教材として使えます。
私は授業用ブログを作っているのですが、今ちょっと困っています。
昔私がホームページを始めた頃(1996年)、htmlはすべて手書きでした。文書のはじまりと終わり、ヘッダー、タイトルなでことごとく手動で書き込んでいました。
その時に便利だったのは、リンクをどこにでも貼ることができたことです。
自分のホームページの中をあっちこっち移動したり、よそ様のホームページにお邪魔したり、ハイパーリンクを使って非常に参照しやすい構造の教材を作成することができました。
ところが、そのうちに手動でhtmlを書く人は少なくなり、ホームページ作成ツールが一般に使えるようになりました。その手のものを使ううちに html の書き方をかなり忘れてしまいました。
最近ではブログを授業に使っていますが、ブログはあっちこっちにリンクを貼って参照するようにはできていません。仮に私が4月28日の授業で4月14日の授業のある一部に言及しようとしても、その部分にマーカー(ポインタ)を埋め込んで、直接その部分に飛ぶことができません。
せいぜい該当する記事のあるブログのURLを示すこぐらいしかできません。
これは大変不便です。
この20年近い間にブログはほとんどが無料化され、それとともに広告がずいぶんと割り込むようになりました。
だから授業用のブログにもさまざまな広告がはいって、よそのブログを参照しようにもまたしても広告に邪魔をされてしまうという不便な思いをしています。
細かいポインタ[マーカー)を埋め込むことができなくなったブログ、授業には使いにくいです。
せっかくのハイパーテクストも、「広告」によってかなり堕落したように感じます。
そのうちひとつのクラス(2年生)では市販の教科書をつかわず、Detsche Welle の提供している豊富な教材からひとつ、「ベルリンの壁崩壊」を選んで使っています。
この教材にはテーマが15あり、読み物や教師用指導要領、練習問題などがついています。
小テーマごとに過去のインターネットの記事がリンクされていているので参照すればより深く、詳しい理解が促されます。ただ、学部2年生にはやや難しすぎる感じがします。
あと、ビデオや歌が掲載されていて、これも教材として使えます。
私は授業用ブログを作っているのですが、今ちょっと困っています。
昔私がホームページを始めた頃(1996年)、htmlはすべて手書きでした。文書のはじまりと終わり、ヘッダー、タイトルなでことごとく手動で書き込んでいました。
その時に便利だったのは、リンクをどこにでも貼ることができたことです。
自分のホームページの中をあっちこっち移動したり、よそ様のホームページにお邪魔したり、ハイパーリンクを使って非常に参照しやすい構造の教材を作成することができました。
ところが、そのうちに手動でhtmlを書く人は少なくなり、ホームページ作成ツールが一般に使えるようになりました。その手のものを使ううちに html の書き方をかなり忘れてしまいました。
最近ではブログを授業に使っていますが、ブログはあっちこっちにリンクを貼って参照するようにはできていません。仮に私が4月28日の授業で4月14日の授業のある一部に言及しようとしても、その部分にマーカー(ポインタ)を埋め込んで、直接その部分に飛ぶことができません。
せいぜい該当する記事のあるブログのURLを示すこぐらいしかできません。
これは大変不便です。
この20年近い間にブログはほとんどが無料化され、それとともに広告がずいぶんと割り込むようになりました。
だから授業用のブログにもさまざまな広告がはいって、よそのブログを参照しようにもまたしても広告に邪魔をされてしまうという不便な思いをしています。
細かいポインタ[マーカー)を埋め込むことができなくなったブログ、授業には使いにくいです。
せっかくのハイパーテクストも、「広告」によってかなり堕落したように感じます。
2013年5月11日土曜日
「ファン」は傍から見れば「バカ」?
本日正午から11月のアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(マリス・ヤンソンス指揮の予定)のチケット販売が行われる。ただし、e plus会員の場合。一般発売は来週の土曜開始。
さっそく e plusにログインしたが、全然アクセスできず、15分ほどかかってようやく入れた。
11月16日、サントリーホールの先行予約は何とすでに完売!カジモトに電話を入れてきいたら少し前に先行予約は締め切ったとか。わ〜ん、仕方ないから来週の土曜日に申し込みます。
11月18日はベルリンフィルの公演と重なるせいか会場は東京文化会館。これを取ろうとしたが、正面中央はすでに残券なし。発売から20分で全部出てしまうとはとても思えない。(業者が全部押さえている?)仕方なく正面左寄りの席を確保。
サントリーホールが取れない場合のことを考え、同一ブログラムである11月17日のミューザ川崎公演を予約しようとするがe plusでは座席指定ができないのでホールに電話。十数回「話し中」だった。ついに繋がったら、今度はホールでキープしているチケットの発売は6月1日から、しかも「ちけっとぴあ」の特設電話で、ということ。
21年来電車で通勤する生活をしていない私が、休日の夕方〜夜に東海道線に乗って生きて帰れるか(笑)自信がないが、ミューザ川崎の新しいホールをぜひ体験したい。ザルツブルクゆかりでもあることだし。
これが大阪の公演だと、ホールに直接電話を入れてさくっとチケットが取れるのに、首都圏はチケット争奪戦がすさまじいのでしょうか?
コンセルトヘボウでこの調子ならベルリンフィル、ウィーンフィルはこんなもんじゃないですよね?
首都圏のみなさん!どうやってうまくチケットを取ればいいのか教えてください!
ただ、この公演にはちょっと不安があります。
日本公演は一連のアジア、オセアニア公演の途中に3日だけ日本に立ち寄り、首都圏だけで演奏会を行うというものですが、問題は指揮者のマリス・ヤンソンスが3月〜4月のヨーロッパ・ロシアツアーの猛烈な強行軍プラスコンセルトヘボウ125年記念演奏会でよほど無理をしたのか、倒れてしまったのです。
そのため、本来なら昨日「ディジタル・コンサートホール」で全世界に中継されたはずであったのマリス・ヤンソンス指揮、ベルリンフィル演奏のバルトーク・ブラームスプロの指揮者がかわってしまったのでした。ああ、残念!期待するだけしてたのに。
ヤンソンスは、もともと心臓病持ち。90年代に一度公演中に倒れて死にかけただけでなく、お父さんのアルヴィッド・ヤンソンスもハレ交響楽団を指揮中に心臓発作でなくなっています。
目下検査を受け、服用する薬を変更中という情報がベルリンフィルで流れていましたが、これは本当に一過性の病気なのでしょうか?
元気とはいってもすでに70歳、春にバイエルン放送響と大演奏旅行を行い、夏はザルツブルクやルツェルンの音楽祭に忙しく、その後アジア・オセアニアツアーというプラン、ドクターがOKと言うでしょうか?
そもそもアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団は私の最も好きなオケなんです。指揮者、そして当日演奏するメンバーによって響きも仕上がりも違いますが、それを超えてこのオケが好きです。はい、ウィーンフィルより好きです。そもそもウィーンフィルって一枚岩ではないでしょう?2チームぐらい作れるのではないでしょうか?でないとザルツブルク音楽祭で連日異なる指揮者といくつもの演奏をこなせるわけないと思うのですが?
で、コンセルトヘボウは仮に指揮者が変更になっても上京して聴きたいと思っています。もし変更になるなら、ハイティンクなら申し分なし、でも年齢的に大ツアーは無理か。ブロムシュテットも同様。では、ガッティが来るか?
若手だと、アンドリス・ネルソンスは可、しかしドゥダーメルはまだ「顔」じゃない(時期ベルリンフィルの首席指揮者候補としてささやかれているけれど)と思う。ネゼ・セガン歓迎。
でも、やはり私はマリス・ヤンソンスをぜひとも聴きたい。何かこの一年ぐらいヤンソンスに完全に夢中になっています。あと、ネゼ・セガンも。
何しろ東京・川崎公演を聴くとなるとチケット代の上に滞在費、旅費がかかるので経済的にただ事ではないんです。
それでも聴きたいのがヤンソンス指揮のアムステルダムコンセルトヘボウ。
どうかちゃんとヤンソンスが来てくれますように。まぁ、指揮者がかわっても行きますけれどね。それまでにオランダ語をもうちょっと勉強しておきましょう。
とここまで書いてひとりでくすくす笑ってしまいました。
「ファン」というのはバカですね。理由なくそのアイドルなり演奏家が好きなんですよ。演奏が悪くても、「たまたま調子が悪かっただけだ」と思うし、良ければ演奏会が終了しても「お見送り」の時間まで居残ってしまうし。(笑)日頃どうしているかfacebookとかtwitterでフォローしてしまうし。
一目惚れならぬ一聴惚れすることもあれば、だんだん気に入って来て、最後にはその人の演奏でないと不満を感じるようになることもあります。ヤンソンスは私にとっては後者。ベルリンで連続3年聴いた彼とコンセルトヘボウの演奏は申し分ない名演でした。というか私は気に入りました。ショスタコービッチ等20世紀ものばかりでしたが、その緻密さとハートフルな歌に感動!
このブログ、書き始はじめは「チケットがうまく取れない!」と叫んでいたのが、いつの間にか「ファンというのは他人から見れば理解しがたく、バカに見える」という話にたどり着きました。アハハ。
首都圏でうま〜くチケットを取る秘密の方法をご存じの方、ぜひ教えてください!
malte@k2r.org
2013年4月16日火曜日
インターネットで追っかけ(笑)
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の4月10日のの演奏会の録音をradio4.nlで聴きました。
昨日はマリス・ヤンソンス指揮で4月12日の演奏会、ワーグナーのオペラから、「マイスタージンガー」と「ロ-エングリン」序曲およびブルクハルト・フリッツのテノールとエーファ・マリーア・ヴェストブレックのソプラノでいくつかのワーグナー作品を聴きました。
ワーグナーといえば、先月ベルリンのシュターツオーパーで「神々の黄昏」を聴こうとしたのですが、体調が悪すぎて一幕でギブアップして逃げ帰ってしまいました。調子の悪い時にソプラノの叫び声はとても耐えられなくて... しかし、今日聴くと全然ワーグナーを負担に感じませんでした。いや、それどころか、すばらしい!
不思議です。
ヴェストブレェックは現代アメリカの作曲家ターネッジ(Turnage)の「アンナ・ニコル」をDVDで見て以来好みのソプラノですが、ブルクハルト・フリッツ(Burkhard Fritz)は全く知りませんでした。
柔らかく、雑音の混じらない声の持ち主で、強い高声をあまり好まない私にとっても好ましい演奏でした。今後注目しようと思います。
この2週間ほど指揮者マリス・ヤンソンス(+バイエルン放送響およびアムステルダムコンセルトヘボウ管弦楽団)をブリュッセル~モスクワ~サンクトペテルスブルク~アムステルダムと「放送」と放送局のホームページで追いかけましたが、ヤンソンスはとても70歳とは思えない精力的な活動ぶりでした。
ブリュッセルではモスクワ行きの飛行機二機のうち一機が欠航になり、メンバーの一部が当日の明け方にモスクワに到着するというハプニングがありながらも万雷の拍手喝采を浴びる演奏会を開くくとができたのでした。
モスクワ公演のあと、休みなくアムステルダム公演を二日連続で行いました。ここでオーケストラがコンセルトヘボウに交代したのですが、どちらのオケもヤンソンスは完璧に把握しているという感じでした。今回はじめて聴いたヤンソンスのワーグナーは想像がつかないほど充実したものでした。
ここに至ってやっと私にあった好みの指揮者を見つけたという感じです。無条件に好きな人ってなかなか見つかりませんよ。:-)
ピアニストでは、若い頃からクリストフ・エッシェンバッハが誰よりも大好きだったのですが、指揮者としての彼は必ずしもその個性と音楽性をうまく活かし切れていないと感じることがあり、聴くことが少なくなっていました。もっとも、去年もザルツブルクでマティアス・ゲルネの共演ピアニストとして聴きましたが。
ヤンソンス(+アムステルダム・コンセルトヘボウ交響楽団)は2010年以来毎年9月にベルリンで一回聴いています。そのわかりやすい棒さばきと精緻で堅固な音楽作り、そして圧倒的な音楽的献身に心を打たれます。それに指揮姿が何とも美しい!
加えて、この指揮者の言語能力の豊かさには驚きます。ソビエト連邦下のラトヴィア出身、13歳からレニングラード(現サンクトペテルスブルク)育ちといことなのでラトヴィア語とロシア語は完璧でしょう。インタビューとプローベの様子をいくつか聴きましたが、ヤンソンスはドイツ語でも英語でも自由自在に音楽について表現することができるのです。
私はインタビューで"You know."ばかり繰り返す指揮者は尊敬しません。インタビューでもプローベでも内容のぎっしりつまった話し方ができる指揮者(いや、音楽家すべて)が好きです。
指揮者と声楽家の言語能力には天才的なものがあると感じています。というか、そうでないと世界的な指揮者、声楽家をやっていられないのでしょう。この話題についてはまた別の折に書きます。
学校時代から好きな演奏家の公演にはある程度無理しても出かけていたのですが、まさかザルツブルク音楽祭やベルリン音楽祭に実際に行けるようになるとは思ってもみませんでした。
そしてインターネット放送の充実した今、実際に演奏家を「追っかけ」なくても、放送で追いかけられるのです。何と楽しいことでしょう!
しかし、日本でヨーロッパの演奏会を聴こうとすると昼夜逆転しますので、これもウィークエンドの趣味にとどめたいと思います。
インターネットのおかげで、「追っかけ」ができる時代になったのです。
2013年4月8日月曜日
演奏旅行は大変なんだ!
バイエルン放送交響楽団(マリス・ヤンソンス指揮)がヨーロッパ~ロシア演奏旅行を終えた。
その旅行の模様を報告したページを読んで驚いたこと --- 演奏旅行ってすごく大変なんだ!
http://www.br.de/radio/br-klassik/so-tournee-2013-fruehjahr-100.html
上記の記事によると、オケのメンバーはブリュッセル公演を終えてモスクワに向かうことになっていた。メンバーはふたつのグループに分かれて、別々の飛行機に搭乗するはずであった。
ところがいざという時になって二機のうち一機が欠航になってしまった。
半分のメンバーだけではコンサートはできない!どうやって翌日までにモスクワに行けばいいのか?
まずメンバーをいくつもの小さいグループに分割し、ブリュッセルからヨーロッパの空港を何か所も乗りかえながらモスクワに向かわせた。
「トランペット・ソロのマーティン・アンゲラーはチケットに書いてあることがほとんど理解できない。17:30までブルッセルで待機して、まずミュンヒェンに飛び、そしてそこで再び時間待ちをして乗りかえる。『モスクワ到着は夜中の3時半。それからまたバスで走る。ホテルにチェックインするのは午前5時。その上この日の夕方にはいいコンサートをやらねばならない。今はここでとにかく待つことにしよう。きっと楽しいだろうさ。』」
演奏会の様子はライブ中継され、私も前半を聴きました。後半は録音してあります。
モスクワで2日間公演した翌日はサンクト・ペテルスブルク公演。Facebookで読んだ記事によると、トラック二台に楽器を積み、メンバーのほうは無事到着したとのこと。
そしてヨーロッパ演奏旅行の最後を飾るサンクトペテルスブルク公演は、ベートーヴェンの第5交響曲とベルリオーズの「幻想交響曲」。
http://mediathek-video.br.de/B7Mediathek.html?bccode=both
上記のサイトで左上の番組検索窓に PetersburgあるいはJansonsと入れると動画が現時点ではまだ出て来ます。(Jansons in Sankt Petersburg, 04.04.2013, 22:30)
さて、サンクトペテルスブルク公演を終えたバイエルン放送響のメンバーはたぶん帰国したと思いますが、マリス・ヤンソンス先生は今度はアムステルダムで行われるコンセルトヘボウ管弦楽団の創立125周年記念の演奏会のためにアムステルダムに向かったそうです。(ご本人がFacebookに書いてました。)
演奏旅行は本当に大変ですね。世界中を行脚する指揮者には休みなんてないのでしょうね。
マリス・ヤンソンス、70歳とはとても思えない活躍ぶりです。
11月にはコンセルトヘボウ管弦楽団と一緒に日本に来るので何とかして東京公演(日本公演は東京、川崎のみ)に乗り込みたいと思っています。
その旅行の模様を報告したページを読んで驚いたこと --- 演奏旅行ってすごく大変なんだ!
http://www.br.de/radio/br-klassik/so-tournee-2013-fruehjahr-100.html
上記の記事によると、オケのメンバーはブリュッセル公演を終えてモスクワに向かうことになっていた。メンバーはふたつのグループに分かれて、別々の飛行機に搭乗するはずであった。
ところがいざという時になって二機のうち一機が欠航になってしまった。
半分のメンバーだけではコンサートはできない!どうやって翌日までにモスクワに行けばいいのか?
まずメンバーをいくつもの小さいグループに分割し、ブリュッセルからヨーロッパの空港を何か所も乗りかえながらモスクワに向かわせた。
「トランペット・ソロのマーティン・アンゲラーはチケットに書いてあることがほとんど理解できない。17:30までブルッセルで待機して、まずミュンヒェンに飛び、そしてそこで再び時間待ちをして乗りかえる。『モスクワ到着は夜中の3時半。それからまたバスで走る。ホテルにチェックインするのは午前5時。その上この日の夕方にはいいコンサートをやらねばならない。今はここでとにかく待つことにしよう。きっと楽しいだろうさ。』」
演奏会の様子はライブ中継され、私も前半を聴きました。後半は録音してあります。
モスクワで2日間公演した翌日はサンクト・ペテルスブルク公演。Facebookで読んだ記事によると、トラック二台に楽器を積み、メンバーのほうは無事到着したとのこと。
そしてヨーロッパ演奏旅行の最後を飾るサンクトペテルスブルク公演は、ベートーヴェンの第5交響曲とベルリオーズの「幻想交響曲」。
http://mediathek-video.br.de/B7Mediathek.html?bccode=both
上記のサイトで左上の番組検索窓に PetersburgあるいはJansonsと入れると動画が現時点ではまだ出て来ます。(Jansons in Sankt Petersburg, 04.04.2013, 22:30)
さて、サンクトペテルスブルク公演を終えたバイエルン放送響のメンバーはたぶん帰国したと思いますが、マリス・ヤンソンス先生は今度はアムステルダムで行われるコンセルトヘボウ管弦楽団の創立125周年記念の演奏会のためにアムステルダムに向かったそうです。(ご本人がFacebookに書いてました。)
演奏旅行は本当に大変ですね。世界中を行脚する指揮者には休みなんてないのでしょうね。
マリス・ヤンソンス、70歳とはとても思えない活躍ぶりです。
11月にはコンセルトヘボウ管弦楽団と一緒に日本に来るので何とかして東京公演(日本公演は東京、川崎のみ)に乗り込みたいと思っています。
2013年4月4日木曜日
理解するのに30年以上かかった作品
もう30年以上も昔の話ですが、ドイツで勉強して(=遊んで)いた頃の話です。
学生寮でお茶会があっておよばれにあずかりました。招き主のヴォルフガング君が突然、
「そうだ、キョーコが来ているから今日は僕が世界一美しいと思う音楽を聴かせてあげるよ。」
と言ってレコードをかけてくれました。(何で私がいることと世界一美しい音楽をかけることが関係あるのかいまだにわからず。:-))
どんな音楽が始まるのか緊張していたら、弦のpのざわめきの上にホルンが"B-Es-B, H-Es-B, B-Es-B"とやり始めました。(Esのところは付点音符です。)、そして次にフルートが入って来て同じことを...
もうおわかりの方も多いと思いますが、この曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=aVfPN40nuqI
しばらく聴いていたのですが全然面白くも何ともなく、レコードのジャケットをちょいと見たら、一時間以上の大曲とわかり、うんざりしたのでした。「何でこれが世界一美しい音楽なの?」
その後どうなったか記憶にありませんが、たぶんおしゃべりに夢中になって音楽は放っておかれたと思います。
さて、30年以上の歳月が過ぎ、ふとしたことから上記のメロディーと再会しました。その時感じたのは戦慄!変ホ長調から何度か転調し、そしてffに突っ込んで怒涛のごとく主題が奏でられるところでは眩暈を感じました。
しかし、何しろ長い作品ゆえ、全曲を聴き通すことはあまりありませんでした。
はじめて実演でブルックナーの交響曲を聴いたのは2011年3月、ベルナルト・ハイティンク指揮、ベルリンフィルの公演でした。この時は5番。これがまた何とも言い難い体験でした。それ以降、ちょくちょくとミサ曲などを含めてブルックナーの作品を聴くようになりました。
転調の時に感じる空中を浮遊するような感覚とか調性が決定した時の充足感とか、なだれうつ弦の波に全身をすくわれそうな恐怖と快感の入り混じった感覚とか、今まで知らなかった感覚が私の中に開発されたような気がします。
この3月にベルリンに滞在した時は、大雪に見舞われて、あまりの寒さ(最高気温がマイナス2度、最低がマイナス13~14度という日もありました。)に体がまいってしまい、気管支炎を起こして寝込みそうになりました。
そんなある夜、ホテルの部屋でぼんやりしていたら、何とも虚しくなってきて泣きたい気分になりました。
「これは、まずい!」
と思って、iPad miniを出してきてラジオがわりに使いました。テレビの番組は面白くないのでとりあえずラジオを聴こうとしました。ちょうど ブルックナーの交響曲第7番(マリス・ヤンソンス指揮!)の放送録音がありました。
広いバスルームにiPad miniを持って行ってかけたら完全に夢中になってしまいました。バスルームだと音がよく響きますね。まさか、入浴しながらブルックナーを聴くなんて危ないことはしていませんよ。--- 気がついたら昇天していたりして。(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=QS-54s59iDQ
こちらは同じヤンソンス指揮のバイエルン放送響の演奏。目下amazon.co.ukにCDを注文中です。
以後この一か月近くブルックナーを聴き続けています。
ブルックナーの「ロマンティック」を「世界一美しい曲」と呼んだヴォルフガング君の気持ちがようやくわかりました。でも、今頃になって!ヴォルフガング君に「ブルックナーは気持ちいい!」って大声で伝えたい気分です。
音楽を理解できるようになるにはそれなりの準備、そして音楽的成熟が必要なんですねぇ。
それを考えると演奏家というのは大変厳しい職業だと思います。円熟の境地に達した時には肉体の力が衰えている可能性もありますから。
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